HOME > まだある。昭和食堂 > カンペキな「お子様ランチ」を求めて ~第2回 上野松坂屋の「お子様ランチ」~
12月 1日のメニュー
by はつみ
前回の東京タワーの「お子様ランチ」は、ロケーション100点、昭和の観光地の食堂然としたお店の雰囲気80点、「お子様ランチ」自体は70点と、けっこう満足度は高かったのですが、残念ながら「これが決定版『お子様ランチ』なのか?」と問われると、「う~ん......」とうならざるを得ませんでした。 ご飯が「のりたまご飯」というのはやはり納得しかねますし、過去の経緯がほとんど不明で、誕生の年もはっきりしない、というのが「正統」を求める僕にとっては、かなりのマイナス要因です。
で、今回は取材先を雰囲気やイメージで選ぶのではなく、ちゃんと「事前調査」をして特定してみました。15分にも及ぶ綿密なリサーチの末に「今回はここ!」と決定したのが、上野の老舗百貨店、松坂屋です。理由は以降で述べますけど、ここの「お子様ランチ」は正統も正統、犬でいえば「血統書付き」。やはり、本物の「お子様ランチ」はデパートの大食堂に生息していたのです。
上野松坂屋を初体験僕にとって上野といえば、もちろん「動物園」、そして個人的に大好きだった「国立科学博物館」。子ども時代からちょくちょく親に連れられて遊びにはきていましたが、デパートに入ったという記憶はありません。たぶん、東京の老舗百貨店のひとつである松坂屋に足を踏み入れたのは、今回が初めてだと思います。
今年春に全面改装リニューアルオープンした、というのがけっこう大きなニュースになってました。前から感じていたことですが、デパートがリニューアルされると、たいていの場合は利用しにくくなってしまいますね。それまで「2F婦人服 3F紳士服 6F呉服・宝飾品」などと「まっとう」な表示のフロアガイドが、リニューアルしたとたんに「2Fシグネチャーアベニュー 3Fカルチャー&コンフォータブル 6Fライフスタイル&ビューティー」などといった不可解かつ恥ずかしい感じのものになっちゃうパターンが多いようです。さらにガイドが必要なフロアガイドなんてガイドじゃないじゃないか、とみんなが思っているはずです。
が、松阪屋さんには、そうしたリニューアルの弊害は見られませんでした。というより、「いったい、どこをリニューアルしたのか?」という感じです。いや、全体的に清潔感が漂っていて、確かにキレイなんですけど、コンセプト的には70年代の渋谷東急東横店みたいでした。つまり、非常に好感の持てる百貨店です。もっとも新しさを感じさせたのが、建物まわりではなく、新たに設定されたキャラ「さくらパンダ」。デパートのキャラってのは珍しいですね。春季以外は使いにくいキャラのような感じがしますが、いろんなグッズが販売されていて、けっこう人気のようです。
さくらパンダピンバッジで、お目当ての「お子様ランチ」を食べられるのが、南館7Fにある「ファミリーレストラン」。総称としてのファミレスではなく、これが店名なんです。固有名詞なんです。かつての「大食堂」を改称したもののようですが、ほかになんか思いつかなかったのかなぁ?というガッカリ感は否めません。
また、インテリアはありがちなファミレス風で、昭和感は皆無でした。ただ、メニューは完全に昭和の「大食堂」。もちろん和洋中すべて取りそろえられています。ちなみに、洋食メニューはこんな感じ。
要するに、カレー、オムライス、グラタンの3本柱で構成されています。ちょっと品数少なめですね。サイドメニューが「ポテト」だけ、というのはかなりもの悲しいと思います。「大食堂」の定番サイドメニュー、「ハムサラダ」「カニサラダ」などが欲しいところです。
「お子様ランチ」登場!かなり前置きが長くなりましたが、いよいよ「お子様ランチ」の登場......の前に、もうちょっと前置きしておきます。
文頭で「ここの『お子様ランチ』は正統」と書きましたが、その理由はズバリ、この上野松坂屋のファミリーレストラン(元「大食堂」)こそが、「『お子様ランチ』発祥の地」だからなのです! 「え?」と思う人は多いでしょうし、ものの本にはいろいろな異論が掲載されているのですが、「『お子様ランチ』という名称をはじめて使用したのが上野松坂屋」だということは確かなようです。
考案されたのは1931年。お花見のメッカであり、動物園もある上野は、とにかく子連れ客で賑わう街でした。今以上に「子どもも楽しめる観光地」という状 態だったそうです。で、松坂屋のコックさんたちが「子ども向けの洋食メニューを」と考え出したのが、「お子様ランチ」だったのです。
当時の「お子様ランチ」の内容は......
・グリンピース入りの型抜きご飯(白いご飯だったそうです)
・コロッケ
・オムレツ
というシンプルな構成。
発売後しばらく、というか、30年もの間、人気の方はいまひとつだったとのこと。洋食自体がまだまだ一般的ではなくて、子どももピンとこなかったようです。
ところが60年代前半になって、突如、ニュースで報道されるほどの人気を博しました。当時、大人気だった『ウルトラマン』のソフビ人形(たぶん、当時150円くらいのちっちゃいヤツでしょう)をオマケにつけたんです。そのとたん、1日300食を超えるほどの大ヒットメニューとなったのだそうです。オマケで人気を博しちゃうのはどうかと思いますが、「お子様ランチ」にオマケをつけるという伝統も、どうやら松坂屋から発祥したようです。
で、いよいよ正統「お子様ランチ」の登場です。
お子様ランチ (735円)う~ん、さすがに「『お子様ランチ』らしさ」にあふれてますね!
正統の風格があります。ハンバーグとエビフライ、カニクリームコロッケがちゃんと3つ揃っているというのがポイントで、これこそ理想の...... あっ!
のりたま
えぇ~っ!!!!????
またしても「のりたまご飯」!
チキンライス・ケチャップライスこそが「お子様ランチ」の主役である、白いご飯なんて「お子様ランチ」じゃないっ!というのは僕の勝手な思い込みなんでしょうか?
一気にモチベーションがさがっちゃいましたが、ただ、構成は悪くないんです。
現在のメニュー内容は......
・エビフライ
・カニクリームコロッケ
・ハンバーグ
・スパゲッティー
・卵焼き
・サラダ
・アイス
さらにドリンク(ヤクルトっぽいけど、ラベルにMeijiとあるところを見ると明治乳業の商品らしい。詳細不明)がついてくるのはうれしいところ。もちろんオマケつきで、取材時は「パンダの風車」でした(オマケのオモチャは随時変更されます)。
ああ、それにしても、「赤いご飯」の「お子様ランチ」には、もう出会えないのでしょうか?
一説によると、「お子様ランチ」を出す店が少なくなったのは、「圧倒的な手間」のせいだといわれています。細かいパーツを組んでひとつのメニューにしたてる、というのが「お子様ランチ」の最大の特徴。パーツのひとつひとつに手間がかかるわけですから、一品なのに数品分の手間がかかってしまうわけです。なかでも、チキンライス・ケチャップライスは面倒で、通常メニューに「チキンライス」があるならまだしも、「お子様ランチ」のためだけに「赤いご飯」を仕込むのは、普通のお店ではやらないそうです。
しかしなぁ、白いご飯の「お子様ランチ」には「お子様」感が皆無。僕には「お皿に盛った洋食弁当」にしか見えません。単なるフェティシズムかも知れませんが、理想の「(赤いご飯の)お子様ランチ」を求めて、さらなる探求を続けることにします。
【店舗データ】
住所:東京都台東区上野3-29-5松坂屋上野店南館7F
電話:03-3832-1111(内線5013)
営業: 10:00(食事は11:00~)~19:30(LO19:00)
休業日:元旦のみ
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