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バレンタインチョコの配布が大々的に実施されるようになったのは四年生のころ。チョコには漠然としたランクがあって、ターゲットにこっそり手渡す「本命」は手づくり、同じ班の人に無差別にばらまく「義理」はハーシーの「キスチョコ」数粒だった。この「ハートチョコレート」はいわばグレーゾーン。「あなたはターゲットではないが、ある法則により選別しました」みたいな相手に配布された。安価でお手軽だが、しかし形はハート、ということが事態をより複雑化させる。手渡された男子はたいてい混乱し、「これはどういう意味だろう?」と友人にコソコソ相談することになった。
筆者がはじめてもらったバレンタインチョコも「ハートチョコレート」で、所属していた「壁新聞係」のリーダーからのものだった。ラッピングを解くと、なかにはチョコと手紙が入っていて、その手紙には次の会議の日程と「あと1回サボったら本当に先生に言いつけます」といった冷酷な宣告だけが書かれていた。結局、筆者も混乱して、教室のすみで「どういう意味だろう?」と友人に相談することになったのである。
ハートチョコレート(株式会社不二家)
発売年:1935年
香ばしいピーナッツが入ったハート型ミルクチョコレート。1袋にハートが1枚、というプレゼントに最適な形態のチョコだ。当初からピーナッツ入りだったかどうかは不明だが、なんと70年以上も前に発売されていたのである。写真は2006年度発売のパッケージ
