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その昔、喫茶店は別として、町の食堂、おそば屋さん、ラーメン屋さんなどの飲食店にある飲みものといえば、ビール、コーラ、オレンジジュース(メニューには単に「ジュース」と書いてあることが多い)の三種のみだった。ビールはお父さん向け、子どもにはコーラかオレンジジュースがあればOK、というのがお店側の方針で(たまにサイダーが加わる)、実際、当時の子どもはそれで本当にOKだったのである。
で、そういうお店のオレンジジュースといえば、もちろん「バヤリース」。言うまでもなくビン入りである。オバサン(オジサンでもいいけど)が金属製のお盆でテーブルまで運んできて、目の前で栓を抜く。「アサヒビール」などと書かれた小さなコップに注いで、「はい、どうぞ」と差し出してくれる。こうして飲んだ氷も入っていない「バヤリース」こそが筆者にとってのオレンジジュースで、「搾りたてのカリフォルニアオレンジ一〇〇%」みたいなものは、いまひとつピンとこない。「わーい、ジュースだ、ジュースだ!」という「オレンジジュース気分」に欠けるのである。
バヤリースオレンジ(アサヒ飲料株式会社)
発売年:1951年
1951年より朝日麦酒(現・アサヒビール)が国内販売を開始。96年にアサヒ飲料がブランドを引き継ぐ。「パレットマーク」と呼ばれる印象的なロゴは「バヤリース坊や」と同じ59年に誕生した。現在は「とろけるシリーズ」、果汁100%の「ホテルブレックファーストシリーズ」などもある
