HOME > 「まだある。」情報局 > 立ち読み > くりせん 1960年代なかば

今回の取材をするまで一度も口にしたことはなかったのだが、周囲の人々が「おばあちゃんお菓子といえばコレ!」と主張するので掲載を決定した。確かに、いかにも「おばあちゃん」に似合いそうな和み系おせんべいである。ちなみに、筆者の祖母は似たような商品として、「瓦せんべい」(中央に家紋のようなものが入っていた)や「ぜいたくせんべい」(不揃いな形のピーナッツせんべい)を愛用していた。よく覚えてはいないが、「お寺で買ってきた」と言っていたような気がするので寺の境内などで販売されていたのかもしれない。どちらも、子ども時代は「おいしくもまずくもない」というのが正直なところだった。「くりせん」も同類だと思っていたが、かなり味わいが違うのでビックリ。練りこまれたあんこが特徴的で、未体験の風味である。
もともとは一九三〇年ごろ、山梨県の松月堂という和菓子屋さんが開発したそうだ(現在も同店の看板商品)。戦前は松月堂が意匠登録権を持っていたようだが、その後は更新されず、多くのメーカーから廉価な類似品が売り出されるようになった。
くりせん(株式会社きん)特に栗に類するものは入っていないが、そこはかとなく栗の味がする……ような気がする。苦いお茶にあいそうな、なんともほのぼのとした甘さである
