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「まだある。」を立ち読み

こんぶ茶 1917年

こんぶ茶 1917年 とりあえず気分を変えたい、というときは喫茶店に入ることにしている。できれば下町方面の路地にあるような終末感が漂うお店がいい。フランス人形とコケシと木彫りのクマとトーテムポールが、一緒くたに飾られているようなお店。「原稿が間に合わないっ!」といった悲壮な気分でこういう店に入り、しばらくボーッとしていると時間の感覚が消えてしまう。一時的な「失踪」というか、社会生活からの「逃亡」というか。で、再び店を出るときには、「ま、なんとかなるんじゃないでしょうか?」という程度には気分が修復されていて、めでたく「社会復帰」できるのである。

 そういう喫茶店のメニューには、今も昆布茶が残っている。さすがに頼んだことはないが、子ども時代、家ではときどき親のマネをして飲んだ。もちろん、あの赤い缶に入った玉露園製「こんぶ茶」。「龍角散」に付いてくるような小さなスプーンで、ほんのちょびっと粉をすくって湯飲みに入れる。それだけでなんだかシミジミしてしまう。場末の喫茶店同様、「こんぶ茶」にも人を「ほっ」とさせる効用があると思う。

こんぶ茶 1917年こんぶ茶(玉露園食品工業株式会社)
発売年:1917年

北海道羅臼産のラウス昆布を100%使用。昆布の健康効果により、健康食品としての注目も集めている。また、調味料として鍋やお吸いものに利用されることも多い。写真は姉妹品の「うめこんぶ茶」(90g入りポリ容器525円)。「うめ」の発売年はメーカーにも不明だが、戦後の商品らしい

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