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「まだある。」を立ち読み

シベリア 1920年代

シベリア 1920年代 カステラでようかんをサンドした一種の和風ケーキ。筆者の場合、祖父の好物だったので子どものころから多少のなじみはあったが、実際に食べたことは数えるほどしかない。記憶もおぼろげで、本書の取材で現物を目にするまで、「シベリア」の中身はあんこだと思っていた(あん入りタイプも存在するらしいが)。かつて祖父が食べていたような三角形のものはいつのまにか消えてしまい、昨今では大手製パンメーカーの長方形のものや、スーパーで売られる袋詰めのミニサイズしか見かけない。主な入手先だった個人経営のパン屋さん自体が少なくなってしまった、ということだろう。

 「シベリア」が普及したのは明治末期から大正はじめごろ。ほとんど東京近郊限定の商品だったようだ。気になる名前の由来だが、これには諸説ある。「断面がシベリアの凍土に似ている」「ようかんの黒い帯をシベリア鉄道に見立てた」「ようかんを被うカステラを、シベリアで用いらる防寒コートに見立てた」などとも言われるが、どの説にもかなりの無理があり、要するに「適当に命名した」ということだと思う。

シベリア(アムールエー・パン)
発売年:1920年代

「昔ながらのパン屋さん」としてテレビや雑誌にも登場するアムールエー・パンの商品(実は編集部のすぐ裏にあるのだ)。発売年は不明だが、昭和5年の時点ですでに店頭に並んでいた記録は残っている。製法も味わいもそのころのままで、味の決め手は甘さ控えめでコクのあるようかん

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